訪問看護師として初めて働いた人は、毎日の仕事や現場での出来事が非常に新鮮に感じられるでしょう。
人の家の中は、入ってみるまでどうなっているのかわかりません。
外から見るとものすごく立派なお屋敷も、一歩患者のご自宅に入ると、独特の個性が広がっています。
そして福祉用具を利用する介護用品のレンタルシステムが充実しているのに、廊下やトイレの手すりが手作りだったり、介護ベッドを使わずに長年愛用しているせんべい布団で療養生活を送っている人もいます。
あらゆる患者の自宅を訪問していると、在宅での看護や介護の有り様は家族の数だけあり、どれが一番正しいという答えは無いということに気づくでしょう。
病気の治療についても、糖尿病だから食事制限を徹底することが正しいと思っていても実はそうではありません。
入院中は仕方なく我慢できますが、自宅で療養している時にまで病院食のようなものしか食べられないようではストレスが溜まってしまいます。
そして、治療を途中で投げ出す人も少なくありません。
自宅で厳しい食事制限を一生続けると思うと、誰もがモチベーションが下がります。
定期的な検査の結果が少しでも改善していたらそれを認め、頑張ったことに対する見返りを作ることは、モチベーションアップに繋がります。
「良くなれば食べられる」ことがわかれば、患者も治療を頑張れるでしょう。
在宅医療に携わった経験は、どれも無駄にはなりません。
いずれやってくる自分の両親の介護についても、早い段階から考え準備期間を設けられます。
介護が必要になってからバタバタと準備をしなくて済むよう、現場で得た知識を家庭内で分かち合うことで活用できるのも、訪問看護師ならではの魅力です。